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THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 ディレクターズカット版 感想

 13, 2015 19:50
賛否両論毀誉褒貶喧しかった実写版パトレイバーシリーズの集大成、劇場版を円盤で観ました。

犬、鳥、魚、銃、ヘリコプター、戦闘機、飯、幽霊、廃墟、etc…。
押井守要素がこれでもかと詰まった作品でした。
私はイノセンスを映画館で2回観た程度には押井守ファンですが、これは良かった。
結局は劇パト2の焼き直しではあるんですが、個人的には大満足でした。
もともとパト2大好きですし、押井監督の割にちゃんとエンタメしていたと思います。

難を言えばパト2が前提となっているため、パト2未見の人にはやや不親切な造りであるということでしょうか。
それでも訳がわからんということは無いでしょうし、そもそもパト2を観てない人がどれだけ今作を観るかというとほぼゼロに近いんじゃないかとも思いますけど。

パト2で柘植行人が起こした幻のクーデター。その事件の発端と同じように爆破されるレインボーブリッジ。
事件を追う公安(パト2では陸幕調査部)と特車二課…。
導入から何からほぼほぼパト2をなぞっているので既視感は流石にありますが実写作品としてはかなり良いんじゃないでしょうか。

公開当時、アニメーションでありながら実写的な造りだったパト2を改めて実写で撮り直した、という感じですが、その映像がなにやらアニメ寄りになっていたのも興味深いですね。改めて二作を見比べてみるのも面白いでしょう。
CGも多分邦画としてはかなり上位に来そうなクオリティですし、特にスカイアクションは従来邦画には少ないジャンルなのでその意味でもかなり画期的な映像だったと思います。実際の自衛隊機の止め撮りを合成した映像は真に迫っていましたし、グレイゴーストの迷彩はややオモチャっぽく感じたもののヘルハウンドとの空中戦はかなりの映像でした。

それからアクション。すごい。良かった。
なんかカタコトになりましたけど、これは実に素晴らしい。カーシャ役の太田莉菜サマサマ。コンビニ回や狙撃回でもわかっていましたが太田莉菜という女優がまた見栄えのすることと言ったら…。美人だし動けてるのでホントにアクション映えがしますね。
中盤の敵アジトでの銃撃戦、銃剣アクションからのガンアクション、唸りました。
最近邦画観てないので、邦画って結構やるやん!てなりました。(この辺の撮影は押井監督じゃなくて辻本監督ですけど)
ラストバトルでも相変わらずイングラムは動きませんけど、それでも見せ場はバッチリでしたね。多分パト2やWⅩⅢよりは動いてた。パト1のレイバーアクションには及ぶべくも無いですが、実写ではアラが出る前にあれで終わらせるとこがクレバーだと思います。

脚本も押井好きとしては満足ですし、比較的難解な部分は抑えられてたので押井作品の中ではまだ人に勧めやすい部類。それでも積極的に勧めようとは思いませんが…。
隊長周りの腹の探り合いとか、序盤のシークエンスを中心にやや冗漫というか退屈に感じられるかも知れませんがその押井節が好きな人にはたまらんですね。私はそこも含めて好きです。もっともそういうシーンの存在が押井作品を人に勧めづらくしているというのが痛し痒し。
大きな欠点の一つとして、二課の連中が決戦に参戦する動機がイマイチ薄いこと。というか二課に限らずこの映画の登場人物全てがこの事件に対する行動原理が分かりにくいです。そこをスルーできないと、ん?ってなるでしょうね。テロリストにしても柘植のシンパで柘植が起こした事件を繰り返すことだけが目的で後の展望がまるで無いというのも納得行かない人多いでしょう。
もっとも、柘植自身もそうでしたけど「ことを起こすこと」、「状況を作ること」それ自体が目的であるっていうのは押井シナリオにはままあることですけど。

今作で私が最も良かったと思ったのは女優陣です。
先に挙げたカーシャ役の太田莉菜さんは言わずもがな、明役の真野恵里菜さんは企画発表当初剛力がキャスティングされるんじゃあるまいかという恐怖から我々を救ってくれた救世主ですので基本的に何やってもOKでした。そんな感じでハードルは下げてましたけど期待以上のハマりっぷり。意外と動けてアクションもできるし、ラストのイングラムから出てくるシーンはキレイに撮れてました。
テロリスト灰原零の森カンナさん。ミステリアスで酷薄そうなキャラクターを上手く演じておられました。生身の出番はあまりないけど、印象深いです。でも一番のインパクトはあの笑みでしょう。口角上がりすぎィ!
あと役名。「灰原」「レイ」で林原めぐみになっとる。んで、お母さんの名前が結(ユイ)なのでこれもエヴァの林原さん。オーコメ聴く限り押井監督は知らなかったらしいですが、スタッフが遊んだのかなぁ。
そして高畑慧役の高島礼子さん。名の知れた名女優ですがこんな高島さんあまり見ないので新鮮で良かったですね。パト2を下敷きにしてるので高畑≒荒川な役回り。パト2では実は荒川は敵方なので高畑もそうなのかと思いきやそうではなく、テロリストに対する容赦のなさ、苛烈な言動、素敵でした。
なんといってもラストの隊長に敬礼するカットがすげえキレイでした。あの笑顔も良かったなぁ。
声のみの出演ですが南雲しのぶ役の榊原良子さんも流石の存在感。
オーコメで言ってましたけどこれは女の戦いなのですね。
押井作品が女の戦いであるというのはよくあることです。攻殻機動隊は勿論、評判の悪いアヴァロン(私は劇場で観た上にDVDも所持していますが)や、アサルトガールズなんてうんこ映画(擁護不能)でもやはり女の戦いが描かれております。
紅い眼鏡の赤い少女もそうですが女優を綺麗に撮ることに関して押井守というひとはそれなりに信用できるんじゃないかな。
作風の好き嫌いは当然あるでしょうけども。

ラストバトルでも押井監督とは思えないサービス精神を見せていましたし(最初の脚本では1発撃って終わりだったらしい)、繰り返しになりますが押井作品としてはかなりまっとうにエンターテインメントしていた印象です。
パト2を土台にしていつつパト1に近いカタルシスがありましたし、エンタメ系の押井作品としてはおそらくナンバーワン評価をあげても良いんじゃないでしょうか。(押井作品にどれだけエンタメ系があるんだという疑問は脇にどけといて)

最大の欠点は「劇場公開版を公開したこと」ですね。オーコメでも「短縮版」と呼ばれているように最初に公開されたバージョンは美味しいところが結構切られている不完全版なので、これは必ずディレクターズカット版で観るべき作品です。
最初っからディレクターズカットで公開しとけよなー。私は劇場に観に行ってないから被害は無いですけど。

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